タロットと○○#4「いろいろなデッキ」
基本的に私が使っているデッキは「ライダー=ウェイト版」なのですが、いつもタロットリーディングで出しているように「シャーマン=カセリ版」など、タロットのデッキには様々な種類があります。
私も最近、新しいデッキを購入したので、ここではタロットデッキの紹介をしようと思います。
1.初期のタロット・デッキ
初期のタロットは、イタリアやフランスの貴族が、画家に依頼して制作したものが多いです。
この時代のタロットの用途はゲーム用や観賞用などであり、占いはゲームの一環として使用されていただろう、と推測されるのみのようです。
1-1.シャルル6世のタロット(1390年ごろ)
タロットの起源や発祥は不明のようですが、最古のものは「シャルル6世のタロット」だといわれているようです。精神が不安定なシャルル6世を慰めるため、画家ジャクマン・グランゴヌールに制作を依頼したもので、現存していないため、どの程度現在のタロットと共通するか不明のようです。
1-2.ミンキアーテ版タロット(1400年ごろ)
イタリア/ミラノのフィリッポ・マリーア・ヴィスコンティ公爵が、秘書トルトナに作らせたもの、ということらしいです。複製のみが残っているようですが、現在とは名称や配置などが異なっているようです。
以下のリンクは近年の再解釈・復刻版のようです。
1-3.ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット
現在、さまざまな図書館や博物館、個人コレクションに散らばる、約15のデッキの総称です。現存する最古のデッキということですが、現在の大アルカナにあたるカードは少なくとも20枚あることが確認されているようです。
1-4.そのほかのタロット
そのほかの貴族制作のデッキでは「エステ家のタロット」や「ケイトリン・ジョフロイ版タロット」「ジャン・ノブレ版タロット」というデッキが存在したようです。
1-5.木版画の量産品(16世紀半ば)
この時代にタロットは量産され、民衆にも広がっていったようです。ゲームやギャンブルが良く流行っていたようですね。
2.フランスにおける神秘主義的な展開
この時代、タロットは占い師「エッティラ」によって、タロットを神秘的なものとみなす風潮が高まり、占いにも多用されるようになっていくようです。
2-1.マルセイユ版タロット(18世紀ごろ)
一大生産地だったフランス/マルセイユにちなんでこう呼ばれています。ゲーム用カードとして民衆に愛されていたようで、ここではまだ占いとしての体系はできていません。
2-2.エッティラによる発展
このころ「タロットのエジプト起源説」というものが流行ったようです。これはガセ情報なのですが、占い師「エッティラ」はこれに感銘を受け、占いとして各カードへ神秘術的な意味づけを行いました。
・「逆位置(リバース)」の採用
・小アルカナに四元素を当てはめる
・大アルカナに惑星と星座を関連付ける
また、エッティラは初めての「占い専用」のデッキを発行したようです。その中には哲学、錬金術、聖書、数秘術の要素が取り込まれており、こうして初期の「占いとしてのタロット」は体系付けられました。
ここから、本格的にタロットは占いの一分野となっていきます。
2-3.ユダヤ神秘主義の取り込み
思想家「エリファス・レヴィ」はカバラ(ユダヤ神秘主義)とタロットを関連付けます。その後を継ぐように、秘密結社「薔薇十字カバラ団」が、大アルカナに対してヘブライ文字や生命の樹(セフィロト)を関連付けました。
3.イギリスでの発展
1865年、イギリスにて秘密結社「黄金の夜明け団」が発足します。黄金の夜明け団の中でも、タロットの再解釈、再関連付けが行われました。
3-1.ウェイト版タロット(1909年)
黄金の夜明け団の「アーサー・エドワード・ウェイト」が、団の解釈に基づいてデザインしたデッキです。これが現代タロットのスタンダードとなっています。
ロンドンのライダー社から出版されたため、俗に「ライダー=ウェイト版」、特に「ライダー版」と呼ばれています。
3-2.トート・タロット(1944年―1969年)
同じく黄金の夜明け団の「アレイスター・クロウリー」は、1944年に「トートの書」を
その挿絵をまとめたものが、トート・タロットです。1969年に発売されましたが、クロウリーの死後であるため、彼以外の意図が入っている可能性もあるようです。
イラストは複雑で抽象的であり、ライダー=ウェイト版とは意味や名称が異なるカードが沢山あります。
4.現代のタロット
現代のタロットは、前述の「ライダー=ウェイト版」を基礎として発展するもの、各地域によって独特に発展するものなど、新しい流れが出ているみたいです。次の3デッキは、最近自分が購入したものです。
4-1.ニュービジョン・デッキ
ライダー版のカードを後ろからみたら?というコンセプトのデッキです。別視点から見ることで、同じカードでも多面的な解釈ができるかもしれません。
4-2.アフター・タロット
こちらもライダー版に新しい視点をもたらすデッキです。サムネイルには、崖のふちを歩いている「愚者」のその後の状況が描かれていますね。
4-3.Edward Goreys 's Fantod Pack
作家のエドワード・ゴーリーが制作した、20枚の「不安の箱」デッキです。カードはすべてオリジナルで、心配や不安、恐れが意味として付与されているようです。
エドワード・ゴーリー 不安な箱 タロットカード/EDWARD GOREY THE Fantod PACK
- 出版社/メーカー: Pomegranate Communications Inc
- メディア: おもちゃ&ホビー
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4-4.その他のデッキ
このほかにも、日本神話タロットやインド神話のタロット、ギリシャ神話タロット、ロイヤル・タイ・タロットなど、各地の風土や要素を汲み取ったタロットデッキが数多く制作されています。
ちゃんと勉強してから入るのなら、現代のスタンダードとされている「ライダー=ウェイト版」がよいのでしょう。
ただ、現在までに、本当に様々な絵柄/コンセプトのタロットカードが出版されています。占い方の小冊子が同封されていることもほとんどですので、初めて触るのが「気に入ったデッキ」でも、なんら問題ないと思います。
皆さまもぜひ、良きタロットライフを!