第41回:タロットリーディング「悪魔」
悪魔のカードは、見たまま不穏な雰囲気が漂うカードです。
どちらの版も、台座には悪魔が座っており、片手にはたいまつを持っています。また逆の手はこちらに向けて掲げられており、まるで「悪魔」の世界へやってきた私を「歓迎」しているようにも思えます。
悪魔の足元には、台座に首輪で繋がれた人間の男女。人間とは言え、悪魔と同じような尻尾が生え、頭には角も生えてきています。……つまり「悪魔」の世界に長くとどまりすぎて、そちらの仲間になってしまっているのでしょうか。
背景はこれでもかというほどに真っ黒。先が見通せるかどうかすらも分かりません。
では「悪魔」の世界ってどういうものでしょう。
カードでは「真っ暗で先も見通せない、鎖によってそこに繋がれてしまう、長くいると悪魔の仲間になってしまう(人の姿から離れて行ってしまう)」…ようなイメージで表現されています。
悪魔の世界といえば、思いつくのは「地獄」でしょうか。読んだことはないですが(読まないと駄目だなと思っていますが)ダンテの「神曲」なんかが知識の助けになりそうです。
悪魔がいるのは地獄、そして役割は罪人を罰するため。地獄にいる人間は罪を犯し、罰せられるが故にそこにいる。
でもタロットでは少し違うように思います。そこに描かれる人間は「罪人」でなく「悪魔の仲間に変貌していく(精神性が変異している)最中」ですし、イラストからは「堕落、停滞、諦め」が感じられます。
上記のような意味のほか、(周囲の環境や人間関係が)不快であること、あるいは(目先のことに触れずに)快楽に浸っていること。(前述に関連して)何かにつけて現実から逃げていること、(ずるずると現状を引きずって)自分の欲望に向き合わないこと……となるでしょうか。
アドバイスとしては「自分の欲望に向き合う/まだ怠けてていいんじゃない?」という感じかもしれません。
クロウリーは悪魔のカードについてこう述べています。
「右目にて、自分自身のために全てを創造せよ。左目にて、他のやり方で創造される全ての物を受け入れよ」
自分のなすこと、そして相手のなすことをちゃんと意識して受け止めなさい、という意味にとれます。逃げたり、目を逸らしたり、気づかないふりをしたり。そんな方法は一時の回避はできても、完全になくすことはできません。
汚い欲望も、怠けたいという意思も、残酷な結果も、見たくない状況も、消したい記憶も、すべて「実在する」ものです。何とかするためには、まず正対しまっすぐ対象を見据えなければ始まりません。